現実まで、もう少し。

 

子を身ごもっている現在であるが、未だに「本当に?」という気分が抜けないのも事実で。もう臨月だから、まあるいお腹の存在感も、ぽこぽこぼんぼんと思ったよりも強い力でお腹を押す胎動もすごい。確実に自分の意志とは関係のない生命がいるのを感じている。

すごく愛しく思って、私の人生のすべてをかけて守りたいとか、もうこの子を産むためなら最悪出産で死んでも良いとか、そういう風な自己犠牲の精神を発揮してしまう、うっとり自己陶酔な瞬間も、ものすごくあるのだけれど、でもふと正気に戻ると、なんだろう、「本当のことなんだろうか?」「子どもが出てきて、一人の人間を本当に産むのか?」「産むってなんだ???」「育てるって??」「一人の人間を???私がどうこうする???」と本当に頭が混乱してしまう。

 

昨夜夫に「生まれてこなきゃ良かったって思ったことある?」と聞いたら「それはない」と言われ、私は物心ついたころから『生まれてこなきゃ良かった』とふとした瞬間に思ってしまう気質の人間なので、そんなすぐに否定できる人がいるんだと、とても驚いた。

だからこそ、自分の子どもが欲しいとか、積極的に思ったことはなかったんだよな。学校も嫌いだったし、不登校にならなかったのも、運よく周りに恵まれたからと、ぎりぎりでバランスを取って何とかかんとか日々を流せてきたからで。今こうやって何とか生活しているこの瞬間も、社会の仕組みもよくわからない。そんな風だから積極的に子どもを持ちたいなんて思ったことがなかった。

夫との話し合いや、いろんな葛藤、そんなものを経て子どもを持とうという決断に至り、運よくありがたいことにお腹に来てくれたわけだけれど、前述の事情から、本当に子どもを持ってよかったんだろうかとかそういう資格のようなことを考えてしまう。

 

資格とかそういうものは今も分からないし、すべて私たち親のエゴで生み出されるあなた。少しでも、生まれてきてよかった・結構面白いところじゃん、って思ってもらえるように努力するから、綺麗なものもたくさんある世界だから、君よ、どうか安心して生まれてきてほしい。どうしようもない悲しいことも醜いこともあるけれど、一緒に乗り越えていこう。そうとしか今は言えないけれど、あなたを身ごもってから、私は世界が少しだけ彩を増した気がする。

 

今はとにかくあなたに会ってみたい。
会えたらとても、とてもうれしいのだと思う。